宇多津古街の背ともいわれる青ノ山の裾野には、お寺が点在しています。そのうちのひとつ、恵日山南隆寺(えにちさんなんりゅうじ)は、竜宮門が特徴的な曹洞宗の寺院です。寛正2(1461)年、細川勝元が大川郡福栄村(現東かがわ市白鳥町)の寶光寺を宇多津に移し、南隆寺としたところから始まります(寶光寺は今も同所にあります)。その後、1466年に丸亀市に移され東福寺となり、1588年には生駒一正が高松築城にあたって浜ノ町に移し、見性寺としました。現在の南隆寺は、見性寺八世照山桃旭和尚により中興されたものだそうです。南隆寺では毎年、新年大般若祈祷、お花まつり、盂蘭盆大施餓鬼会などが行われていますが、身近な行事として知られているのが毎週日曜朝6時から開かれている坐禅会です。数十年間続いており、誰でも参加できます。坐禅会が開かれるのは、昭和51年建立の坐禅堂。企業などの研修にも使われている参禅道場で、昔は子どもたちが学ぶ場でもあったそう。最近では、禅を体験したいという声が寄せられるようになり、月1回程度、坐禅の体験会を開催することになりました。坐禅堂には31の単(すわる場所)があり、正面には僧形文殊菩薩が祀られています。羅漢堂を兼ねているので、奥には大勢の羅漢さまが。坐禅の時、壁に向かってすわっていると、羅漢さまたちに見守られているような気分になるとのこと。心とからだを落ち着かせ、自分と向き合う時間はいかがでしょう。