背山(せざん)が建てられたのは昭和5(1930)年です。伝統的な和風建築が多い宇多津の古街にあって、薄緑色のモルタル壁の、四角い洋館風の外観が目を引きます。建築当時はきっとハイカラな建物としてまちの話題になったことでしょう。
シンプルな洋館風の外観。
洋館風の外観に、収まりのよい格子の引き戸。
その和洋折衷の作りを改修デザインにも活かしたのが、背山。大胆に、畳張りから無垢のウォールナットのフローリングに変えたリビングダイビングがあり、ダイニングテーブルやソファ等の家具も同じウォールナットで統一されています。設備面では、システムキッチンや床暖房が導入され季節を問わず快適に過ごせます。また、1階と2階にベッドルームが1部屋ずつ、そしてモダンな洗面所と桧風呂などがあります。
ソファの向こうに本格的な床の間。和洋と古今が見事に調和している。
窓の奥のウッドデッキは、部屋と外を開放的につなげてくれる。
いつもどおりの生活スタイルで使いやすい水回り。
さんさんと光の入る開放的な浴室。ウッドデッキから流れ込むそよ風は、露天風呂を思わせる気持ちよさ。
そして、この背山を演出するのは、軸のかかった床の間と違い棚、明り取りの小窓、欄間など、職人による贅沢な和の装飾。和洋も古今も混在する、居ればいるほど味わいが増す空間です。フローリングの床でごろごろできる気楽さや、開放感と明るさも魅力。大きな窓の外では、爽やかな風が竹や楓の葉を揺らしています。すがすがしい朝の光には、なにげない朝食もごちそうに変えてくれるような魔法があります。
ご家族やご友人グループで毎年別荘のように滞在する方もいて、「こういう家に住みたい」という声が多いのも頷けます。
欄間の丁寧な細工や、灯り取りの工夫であるガラス戸の松葉模様など、機能だけではなく、心豊かに暮らす工夫がちりばめられている。寝室の襖戸に「水」と「山」の流れるような文字。プロデュースしたアレックス・カー氏の書。