瀬戸内海に面し、美しい自然に囲まれた宇多津町は、古くから港町として栄えてきました。江戸時代には藩の米蔵が置かれており、大束川沿いで水運を活かして米を仕入れ、酒造りを始めた会社がありました。
それが、ライスパワーエキスで知られる「勇心酒造」です。
勇心酒造のはじまり
勇心酒造が宇多津町に誕生したのは、江戸時代の末期、安政元年(1854年)。唯一の酒造がつくる清酒は、生産量は多くはないもののその酒質の良さから、町民の6割が愛飲する銘柄だったと言われています。
その5代目社長・故徳山孝さんは、東北大学や東京大学大学院での微生物研究や人との出会いを通して、後のライスパワーエキス研究の原点となる独自の自然観を確立しました。
それが「人間も自然の一員であり、様々な背景によって“生かされている”」というものでした。
初めての商品化
東京大学大学院を卒業後、国税庁の醸造試験所での勤務を経て、勇心酒造の5代目を継いだ徳山孝さん。「米」を「酒」に変える発酵技術を利用すれば人類がまだ発見されていない米に秘められた力を引き出せるのではないかと研究開発を行い、勇心酒造独自の技術「日本型バイオ」や「ライスパワーエキス」を開発しました。
そして誕生したのが、魚の臭みを消し、料理のうま味とまる味を引き出す効果のある発酵調味料「ゆうしん」でした。初めて商品化したこの調味料は清酒の販売額に匹敵する売り上げを叩き出しました。その後も「米発酵エキス」を使用した入浴剤の開発などを通して、さらにライスパワーエキスの研究・開発を続けました。
ライスパワーNo.11の誕生
お米と醸造発酵という技術を組み合わせで生み出した「ライスパワーエキス」。その中でも、10年以上の年月をかけて誕生したのが、「ライスパワーNo.11」でした。皮膚の深層部に浸透し、水分保持力を高めるという効能を持ち、乾燥肌やアトピー症状の緩和にも役立つことが期待されて医薬部外品として承認されました。
このライスパワーNo.11を配合し、大手メーカーより発売された化粧品は、発売から1週間で20万本を売り上げる大ヒット商品となりました。
勇心酒造の原点とこれから
ライスパワーエキスを軸に、さまざまな商品開発を行なってきた勇心酒造。もちろんライスパワーエキスの研究・開発だけではなく、原点である酒造りもさらに強化し、杜氏ではなく社員による酒造りに挑戦しています。
試行錯誤の結果、「吟醸9号」「吟醸14号」「大吟醸」という3種類の清酒を発売。「吟醸9号」と「吟醸14号」は2013年のかがわ県産品コンクールで県知事賞を受賞するなど、酒造りの面においても変わらぬ挑戦を続けています。
勇心酒造を見て触れて -工場見学・直売-
2024年に創業170年を迎えた勇心酒造。その活動は酒造りに留まらず、介護や医療の現場にも広がっています。「生かされている」という哲学のもと、米の可能性を探求し、多くの人々の健やかな生活に寄与し続けています。
現在、綾川町にある本社では、商品開発だけではなく、商品の販売や工場見学も行っています。会社・事業紹介、化粧品のタッチアップ、お酒の試飲などを通して、より商品や会社の理解を深めてもらえるプログラムです。(実施の可否・内容は要相談となりますので、事前にお問い合わせください。)
見学の内容(基本のコース)
会社の紹介 ⇒ 酒造りの紹介
⇒ 化粧品の説明 ⇒ お酒の試飲
エントランスでは、「ライスパワーエキス」をたっぷり配合した基礎化粧品の販売。すべてにライスパワー№11を配合した、エイジングケアの最高峰ラインである「ライ―スリペア」シリーズなどの商品を購入できます。
また、お酒の購入も可能。こちらは予約なしでできますので、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?
宇多津町では毎年3月に開催しているイベント「うたづの町家とおひなさん」にも、勇心酒造は毎年出店しています。こちらでは貴重な新酒も入手できますので、お楽しみに。