レポート

野山の恵みを活かす─
「古代米と竹を使った正月飾り」ワークショップを開催しました

宇多津には会いたいと願わないと会えない、「竹取の翁」がいます。普段は日常の景色に紛れて、街中を自転車でさっそうと走っているんです。翁こと、岡田茂久さんは古街を包む青野山の麓にお住まいで、山から竹を切り出しては日に日に、工房(ご自宅の納屋)で加工しています。

ある時は「こんなん、つくってきた」と、小さな三角帽子のようなものを見せてくれました。実は、竹で編んだコーヒーフィルター。職人のごとく手さばきで、竹から籠や小物がうみだされています。

今回は、岡田さんにご指南いただき、竹を編み込んだ土台に、古代米と水引をあしらった正月飾りをつくりました。宇多津古街の南部では、休耕田を活用して古代米の品種紫黒苑と朝紫米を栽培され、お酒やお菓子、料理に使って、地域ブランドとして発信していこうという取り組みが進められています。そこで、私たちも、正月飾りに、古代米を用いてみました。黒紫色の稲穂が竹の緑を引き立てます。

写真:真ん中が古代米です。

「リズムが大事!」「あとで形は整えられるから、交互に編むことだけを考えて」
ワークショップでは、竹を均等に切りそろえた竹ひごを「上へ下へ」と編み込んでいきます。竹編みの基本。今回は、編み上げるのではなく、シンプルに平面をつくります。が、簡単なようで、やってみると意外と難しい。編み目を見失って、どこまで編んだのか見失ってしまう…。
そこで、岡田さんが、テーブルを周って、「あー、ここまでできとるね!次はここからや」と、手をちょっと加えると、また、みなさんの手も動き出しました。さすが、竹取りの翁、仙人のようです。

ものづくり大好き女子たちの姿をみて、「皆、真剣な顔になっとるやろ!こういう表情を見れるんが嬉しい」という、岡田さんのにっこり、皺くちゃな笑顔にもほっとする町家のワークショップでした。

同じものをつくっても、つくる人の雰囲気がでるのが面白いですね。みなさん、素敵な正月飾りができました。ぜひ、お家に飾ってたのしんでください。

プロフィール: mito(写真右端)
今回のワークショップを企画しました。実家は古街の家に近く、現在は青の山の麓に住んでいます。子育てするようになって、古街での「日々のなんでもないこと」と思っていたことが、今、私自身にも新鮮で、面白く、こういう場が必要なのかな…と。地域を訪れる方だけでなく、子どもや子育て世代にも、古街の良さを知ってもらえたら…と日々、想いを巡らせています。心が循環する活動を通して、おとな、こども、みんながほっとできる居場所づくりに興味があります。アイデア、仲間、いつでも募集しています。

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